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きれいな電波を出そう/まともな電波の基本的な部分/「理想的なFM送信機とは」
 
 

技術を楽しむための新企画です。

ミニFM用に販売されてる送信機KITを実際に製作し。

このページで順次紹介して行きます。
初心者からベテランまで参考になるかと思います。

それでは、これから送信機のKITを買いに行って来ます。
次回のページ更新をお楽しみに、!

 

てな感じで2002年度の企画がスタートするはずだったんだけど??
そのまんま、2年もほったらかし、乗りが悪いって言うか何て言うか?、誰も乗って来ない、
確かに、いまさらオモチャのKIT何て感は否めません。....どうも手抜きのやっつけ仕事がバレたようですな、!

そこで「理想的なFM送信機とは」ってテーマに変えてFM送信機に求められる
基本的な事柄と能書きを記してみる事にします、内容は、かなりヘビー級な物になると思いますが、
プロ・レベルの技術を望んでいる貴方の為に!!
出来るだけ手抜きをせずに解説致します。

このページに関して不明な事や疑問が有れば質問内容を具体的に絞り込んで mail で質問してください。
WildCat FMの各専門の技術スタッフが責任を持って回答致します。


ミニFMの間で一般的に送信機と呼ばれている物は、FMのステレオ電波を
送信(発振)するものですが・・・わかってるって!!

俗に言う、Transmitterは送信部(送信機)=[FM Exciters]とステレオ変調機[FM stereo generater]が
一緒になってFM送信機=[FM stereo Transmitter] って呼んでる見たいですが、??

励信用の出力の小さい奴は、FM stereo Excitersって言うのが正しいみたいです。!!

某所でFM stereo Transmitter見せてくれって言うと、お化け見たいにデカイ機械が出てくる、?
一番小さいのでも100W位の機械になるからプロの世界は面白いのだ!(笑

前置きと能書きが多すぎるって!・・・では本題に、

あ、その前に(FM放送における電波の質)ってのが最低限の基準になりますので、
こちらを先に参照してください。
 

「理想的な送信機とは」まずは、電波を出す基本部分[FM Exciters]に求められる事柄から、

 

1.環境変化に強く長期に渡って性能が維持できる事!
私は回路を設計する当たって常に基本と考えています、
性能が良いのは最初だけでは、話になりません、
多少低性能であっても過酷な条件下に於いても安定した性能が維持できる物が良いに決まってる。
低性能って言っても君たちが考えてる物と次元が違うので誤解しないように!!。

いくら初期スペックが良かったとしても環境の変化でそのスペックが維持出来なければ使い物にならないッしょ!
プロ機の場合あらゆる条件下に措いて安定した性能って事になるので
条件が限定された民生機とはスペックに対する思考や見かたが変わって来ます。

私の場合、送信機のスペックに対しては現在1年間のエージングを持って検証しています。

基本的にプロスペックとは、そう言う物だと某所で教えられました。
教えを受けた某所の機器のライフスペックは、当時毎日稼動しても20年と言われていましたが、
私の手元に有る、その機器は実際に20年以上経過した現在も一度の故障も無く稼動してます。
20年以上の年月を経過し改めて本物のプロスペックの凄い実力を思い知らされます。
実際に性能劣化は無く当時のスペックを完全に維持したまま現在に至っています。

 

2.クリーンで安定した電波が出せる事!
一口で言うけどこれが難しいんだよね、

では電波の原点から・・・
FM電波の原点はVCO=「可変周波数発振機」これがヤバイと後からどんな事を
やっても悪くなる事が、あっても良くなる事は絶対に在り得えません。

取り合えず放送帯域で発振していればOKで、
後はPLLで安定な周波数が得られると思っている彼方、大きな勘違いです、
考えを改めないと何時まで経ってもまともな信号は得られません。

VCOにとってのPLLは飽くまで補助回路でしかないのです。

 

送信(発振)周波数維持装置(PLL.フェーズ・ロック・ループ) 
安定度の高いと言われる水晶発振器が組み込んで有り、比較器がVCOの発振周波数と
基準となる水晶発振器の周波数とを常に監視して発振周波数のズレを自動的に修正する電子回路。
PLLの名の様に理論的には位相レベルでの制御が行われるので水晶発振器と同じ高い安定度が得られる。

VCOの発振純度
濁った信号に情報を載せても正しく伝達されない事を理解しましょう。

いくらクリーンな音声信号を載せてもそれを伝達する基本の信号の精度(純度)が
悪ければ、その情報は正確に伝わりません。

「電波におけるジッタとかワウフラッター」って言いかたをすれば少し理解してもらえ得るかな!!

発振された信号を厳密見ると中心周波数に対して微妙にブレているのが観測されます。
軽度なもので数度〜10Hz位、ヤバイ物は数KHz以上ものブレが確認出来ます。
これは回路の設計不良だけど、!・・・

その、多くは高速で、このブレを起こしていています。
PLLの制御が絡んでいる事も有って平均値としての中心周波数は
周波数カウンターの測定においては正しく表示されるので、(平均値として)
この微細なブレは確認出来ません。

高精度なスペアナでバンドを絞り込んで確認すると信号の裾がドバーと広がっているのが確認されます。
これは、ある種の位相雑音で有って、この微妙な位相の変移は電波自体の(純度)S/N比が悪い事になります。

実際のS/N比は送信〜受信側での評価になりますが、
FM放送の最大周波数偏移(100%変調=150KHz)、からS/N比が算出できます。

 

極めてクリーンな信号
この信号は、高確度水晶発振機の基準信号で、
精度は1×10~10 LABOのマスター信号です。
FM送信機の信号 /精度は1×10~6
VCOの微細な乱れやPLLによる影響で、
信号が乱獲し電波の裾が広がっている。
 

測定スパンは、1000Hz、(周波数軸の1グリッドは100Hz) 分解能(RBW.VBW)は、10Hzです。

左の画像(高確度水晶発振機)、と比較すると右の画像の信号は、
明らかに信号純度が劣化していてS/N比が悪いのがわかります。
これでも、FM送信機の信号としては、ピュアな信号なんです。
ヤバイ信号は、この画面には収まらいからね。(笑
さて、右の画像の信号のS/N比は、いったい何dBなんだろう??
測定スパンは、1000Hz、1グリッドは100Hzです。
測定画像を見て鳥肌がたった彼方には、わかると思いますが?
 
 

またPLLのループフィルターの設計が悪くPLLの制御雑音によって、
変調されて位相雑音を加速度的に増加させている機種も中には、かなり存在しています。
広範囲なPLLのロックレンジを得ようとするとPLLの制御雑音によって電波自体の(純度)の
劣化は避けられません。

また安易に雑音を避ける為にループフィルターの時定数を、下げると周波数が浮遊します。
これを避ける為には高度な技術による複雑なループフィルターの設計が必要になります。

私はまだ、この相反する問題点を完全にクリアーした、高度な技術が投入された
高性能な送信機には残念ながらお目にかかった事が有りません。

 

FM ExciterのVCOはレンジの広い周波数変調信号を必要としているので位相の微妙なブレを
抑えるのは高度な技術が必要ですが、せめて15度位まで抑えないと理想的な送信機とは言えないのでは、!?

レンジの広い周波数変調信号を確保するためにVCOは周波数の浮遊の問題を生じます、
お高い機器でも結構見かけます。ヤバイのは〜200Hz、ぐらいを緩やかに上下するのを見たことが有ります。

これは周波数精度に命を賭けてる様な技術者から見れば単なる不良品の部類。!!
この辺も〜30Hz以下位でないとVCOの安定度が良いとは言えません。

周波数カウンターの下桁の数値が、ヘロヘロ動いていて何時まで経っても安定しない。
ヤバイ物だと83.800XXX でXXXの下3桁の数値が常に変動する。
実際にコミニティーFMレベルの送信機で、確認しています。
 
 

ここまでは横の話ですが縦にもダイナミックにブレている信号を見た事が有ります。

AM変調雑音
電波法ではFM放送電波の質と言う項目の中に「残留振幅変調雑音」と言うのが有ります。
VCOから発生する雑音での電波の縦ブレは、-50dB以下と規制されています。
先に述べた様に電波自体のS/N比、発振の純度が問題になります。

FM送信機から僅かでもAM信号が出るってのは、問題外ですよね。!
AM変調雑音に関しては、別途解説予定。

 
 

「ミニパラ」
設計不良のVCOで多いのは基本周波数外の微細な発振
VCOは基本周波数を発振しているのですが、基本波以外にも微細な発振信号が多数観測出来るVCOがあります。
このヤバイ発振現象を私はミニパラと呼んでいます。

測定器を使って確認すれば目的外の異常な発振の確認が出来るのですが、
その様な設備を持たないガレージファクトリーが作るオモチャ的な送信機に多く見られます。
まれに、プロ機でも見落とされている事が在り、基本波付近で起きていると
回避不能な電波障害となるケースが存在します。

FMチューナーで聴いた時バンド内のいろんな周波数で微弱な電波が多数受信できるのは、
至近距離で強い電波を受信しているから起っているのでは有りません。

 
微細な発振信号等が観測されない
極めてクリーンな信号
基本波以外にも微細な発振信号が
多数観測出来るVCO。
 

測定スパンは、3MHz(センター 79.0MHz /左端 77.5MHz /右端 80.5MHz)分解能は 3KHz・・

右の画像は、基本波の周りに多数の信号が確認できる、(バンド内がゴミだらけ!!)。
基本波に対して約-633KHzに強い信号があります、79MHz-633KHz=78.367MHz
このゴミ信号は、そのまま増幅されるので、バンド内や基本波の付近に存在すると
バンドパス・フィルターやローパス・フィルターでは防ぎようが無いので電波障害は回避不能です。

また、この微細発振が基本波の付近に存在すると相互干渉により
ステレオ・パイロット信号との干渉ビートを起こし受信音に不快なビート音を発生させる原因になります。

このゴミ信号は、PLLのループフィルターの信号リークによって起こる場合もあります、
この場合比較周波数の整数倍に列をなして現れます。
PLLを切り離せばVCOによるものなのか、PLLの設計不良によるリーク・スプリアスか識別できます。

 

PLLの比較周波数の整数倍に列をなして現る。
この様な状態が起こるとパイロット信号との干渉を、
避ける事が出来ず極度にS/N比が劣化する。
PLLによるリーク・スプリアスは微細な物で有っても、
その影響により信号の純度を下げ、電波の乱獲は
帯域を占有し電波の裾が広がってしまう。

至近距離で強い電波をFMチューナーで受信した時、離調してもリーク・スプリアスの発生している範囲では
微弱な音声が受信できるなどの不可解な現象が確認されます。

 

※補足、俗に言うパラ発振とは「あらゆる周波数を無秩序に発振する現象(異常発振)」

VCOの発振信号は最初からピュアな信号を発振させないと
理想的な送信機の原信号には使えないって事を今一度、頭に叩き込んで戴きたい。
前に説明した様に電波の原点はVCO、これがヤバイと後からどんな事をやっても無駄なんです、
何をやっても良くなる事は絶対に在り得えません。

中途半端なVCOを、いじくりまわすより新たな回路を設計した方が良い結果が得られる事の方が多い。



3.歪のない変調と、その直線性が良い事!

FM変調の原点は、VCO=「可変周波数発振機」 、
オーディオ信号によって周波数を可変する発振機、なわけだが?
そのオーディオ信号に対し正確に発振周波数を変移出来ないと当然信号が歪みます。

FMの電波は、その名の通り「FM = Frequency Modulation = 周波数変調」
音声信号によって発振周波数を上下に変動させ音声を伝達しているのです。

VCOに与えるPLLの問題点
オーディオ信号によって発振周波数の変移が起こるとPLLが周波数のズレを感知して
補正をかけるのでオーディオ信号に対し正確に発振周波数を変移出来ないと言う矛盾が生じます、
特に、100Hz以下のオーディオ信号の低周波域でダイナミックに起こります。

発振周波数を正確に変移出来ない為に信号が歪んでしまいます。
これはVCOの変調回路と多くの場合PLLのループフィルターの設計に問題があるのですが、
粗悪な物は50Hz〜200Hz程度のオーディオ信号の入力でもPLLの制御信号の阻害を受けて
オーディオ信号の波形が原型をとどめないぐらい崩れてしまいます。

いくら優秀で高性能な変調機を使っていても、VCOが不完全な場合正しくオーディオ信号を
変調できないので音質がドウノコウノって言う以前の話になります。

この件に付いては、プロ用の Exciters でも、低域特性の悪い物が多く存在するので、
某有名な変調機メーカーの技術者達は自社製品の性能が生かせない為、かなりキレてる様で、
その事がマニアルに露骨に記載されているのを見た事が有ります。
だったらExciters も、自社で開発しろよって、思うが・・・!!
アメリカの場合ユニオンに寄って保護されていているので他の領域を侵せないんですね。
その前にExcitersとstereo generater とでは技術的なジャンルが
極端に違うので簡単な話では有りませんが、!?

高性能な変調機を使うなら低域特性の良いVCOを搭載した、Exciters を使わないと
その性能を100%生かせ無いので高性能な変調機も単なる飾り物になってしまいます。


その前に信号が通らない様な機器では話になりませんが、取り合えず、10Hz〜20Hz程度の信号を
L又はRチャンネルに入力して信号が崩れて無いか直線検波器にオシロを繋いで確認して見ましょう。

 
PLLの制御信号の阻害を受け変異した信号 正常な信号
既に信号が崩壊しているので、
音質以前の問題・・・

貴方は、この信号の比較を見て
音が良いとか悪いとかの話しをしますか?

すでに比較の対象には、
ならないってのが正直な所だと思います。

 
測定器の見方がわかっている方には十分理解できると思いますが、

オシロ画面の見方
最後の画像を見てください、右上にTIME.DEVの表示が50mSと表示されています、
これは時間軸を表示しています画面では見えにくいが縦横に格子(グリッド)が見えると思う
(縦横10マス)このひとマスを時間軸が横にスイープする時間が表示されている。
したがって50mSの場合画面の左から右にスイープする時間は0.5秒となります、
0.5秒に2+1/2波観測されると言う事は5Hzの信号で有る事が確認で来ます。
他の画面も、この様にして表示されている信号の周波数を確認できます。

上記の比較画像を見て貰えばわかる様に低い周波数ほど信号への影響が大きくなります。

オーディオ信号を正しく再現できないので音質がドウノコウノって言う以前の話になりますが、
この様にオーディオ信号がPLLによって阻害を受けた場合、影響が出て来た周波数以下の信号を
フィルターなどでカットしないと音が不安定になる、と言う前に変異した信号は雑音と化しています。
また、送信する電波の安定度も失う事になるので注意が必要です。

 

左上の画像の送信機では、70Hz辺りが限界なので、それ以下の周波数を、
フィルターでカットしないと音質に悪影響が出るのは信号から単純に推測出来る?。

FMステレオのオーディオ信号はパロット信号によって上限周波数の制約を受けているので、
良い音を出すためには低い周波数帯域を歪み無くクリーンな信号を再現できるかによって
基本的なクオリティーに大きく影響して来ます。
最近のヨーロッパのFM放送機器では、オーディオ信号の低い周波数帯域をいかに再生するか
と言う点を重視した回路設計の機器が多く見られます、技術屋の行き着くところは皆同じなのかも!!
いずれにしても低い周波数の信号に対して高い周波数の信号が上乗するので低域信号が歪むと
全てに音が濁って来るので低域信号の歪みは大敵という事になります。
ちなみに、ヨーロッパの最新のFM Exciters は、10Hzの信号を再現で来る事を売りにしている物が存在します。

FMステレオで良い音で送信するためには、VCOの性能が大きく関わって来ます。

FM放送波の原点その1は、VCOが発振する信号です。(俗にキャリヤー信号と呼ばれている、主搬送波)
何故キャリヤー信号と呼ばれているかと言うと単純に物を運ぶ信号の事!
その信号が乱れていたり濁っていたりすると正確に情報は伝達出来ません。

FM放送波の原点その2は、ステレオ音声信号を伝達するサブキャリヤー信号(副搬送波)になります。
FM放送の電波は、主搬送波に音声情報を載せる、しかし主搬送波に載せられた音声情報には、
副搬送波と言う極めて繊細なステレオ音声情報が存在する。
主搬送波がクリーンで有っても副搬送波が乱れていれば情報は欠落し伝達出来ません。(猿でもわかる)
その情報の全てが正確にリスナーに伝達されて初めて良い音が再現されるのです。
単純な話、親亀の上に小亀が乗っていてその上に最終的な情報が乗っているのです。
どの亀が、コケても正しく情報は伝わりません。

これで、わかってもらえるんだろうか??。

★主搬送波とはFM放送帯域で発振されている信号、・・例として、[80MHz TOKYO-FM]等、(電波の信号)
★副搬送波とは、ステレオ音声信号を伝達するサブキャリヤー信号で、38KHz.(電波と音の中間的な信号で
音声信号と共に立ち上がる、音声信号がない無音の時は抑圧されている。)

★パイロット信号とは、受信側でサブキャリヤー信号を同期させるための基準信号、19KHz.(音声信号に極めて近い位置に有る信号)

★音声情報(音声信号)とは、一般的なFMステレオ放送の場合、20Hz〜15KHzの耳に聞こえる周波数範囲、(人間の耳に聞こえる音の信号)
 
 
 

次回サイト更新時にはFM変調機編を予定しています。
 
 
 


★補足
上記解説内において、
電波の高調波やスプリアスに関しての解説がなされていない件についての指摘を受けました。
高調波やスプリアスは除去出来ているのが当然と言う観点で話を進めていますが、
次回サイト更新時には高調波やスプリアスに関しても多少解説して見たいと思います。

出来るだけ手抜きをせずに解説致します、ってのが本ページの基本ですから、
ご意見や、ご感想、解説して欲しい内容や質問等お寄せください。
 
 
 
FM放送における電波の質 /「理想的なFM送信機とは」
FM放送における電波の質 /法が定めるFM放送における電波の質
まともな電波の基本的な部分/「Pre-emphasis.」

 
 
 

 
 
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2002/01/04/ last modified on 2005/03/17