ダイポール・アンテナの
謎
アンテナの基本中の基本とも呼べるのがダイポール・アンテナである。
構造も単純なので誰もが一度は製作した事が有ると思われる、
しかし期待した性能が得られなかったのではないですか??
良く見るダイポール・アンテナの図は下記の様な物だと思います。
これでも?、理論的な性能が得られなくとも、一応機能します。(謎
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Figure 1
これが基本的な1/2波長ダイポール・アンテナ
無線関係の教科書にも載っていて何処にでも出てくるほど有名な図です。
それとアンテナのエレメント長の計算式は
アンテナの長さ(m)=[300(m)÷周波数(MHz)]÷2
ちなみに給電点のインピーダンスと電圧分布の関係で1/2波長でアンテナが成立するのであって、1波長や1/4波長ではアンテナとして成立せず機能しません。
それぐらいは、知ってるよな!!
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しかし、これは実際に使う上では、大間違いなのです、
図1、ではダイポール・アンテナ本来の基本的な性能は出ないのです。
さて、ここからタブーとされているかどうか知らないけど未知の領域に入り込みますヨ!
さて、何処が大間違いなのでしょう?? 間違った事が教科書に載ってるなんて、...有りえないってか??
教科書は理論的な事を単に説明しているだけで、このアンテナが実際に使われる事など考えていません。
理論的にはそれで良いのかも知れないけれど、ちょっと変...ダヨネーーッ!!
さて、ダイポール・アンテナのエレメントは実際にはアルミパイプとか銅パイプ又は
銅線などで上の、Figure 2の様な単純な構造になっています、
給電点のインピーダンスは理論上は72Ω位らしい?...私も良く知らない?(笑
そこに75Ωとか50Ωの同軸ケーブルを繋ぐ、...多少のミスマッチングが生じるが問題無いはず、...
みんな、そう思って使ってんだよね、何か変だ何て疑った事も無い。
もう一度、図2の給電点を見てください、?..感のいい貴方はもう気が付きましたネ、大間違いに、!!
ダイポール・アンテナの怪、地獄の落とし穴、究極のミスマッチング
そうなんですよ、だから幾らエレメント長を調整してもVSWRが下がらなかったんです。
ダイポール・アンテナのエレメントは左右対称なので両給電点はホットエンドとなります。
わかりやすく説明すると、ダイポール・アンテナの給電点は平衡(バランス)なのに対して
同軸ケーブルは不平衡(アンバランス)なので同一インピーダンスでも正しくマッチングしないのです。
オーディオの世界だって、バランス入力の機器にアンバランスの信号突っ込んでも良い音なんか出ない。
ダイポール・アンテナは平衡(バランス)接続しないと電力を正しく供給出来ません。
オーディオ回路でも、やってはいけない事を高周波回路でやってるんだから恐ろしく怖い話だ。!!
殆どの人が、この大間違いのミスマッチングに気が付かずに、
半分以上の電力をアンテナからではなく同軸ケーブルから放出していた事になります。
ダイポール・アンテナへの正しい給電方法
間違がった給電ではなく、正しいやり方で給電をすればダイポール・アンテナ本来の性能がでます。(Hi
同軸ケーブルの不平衡を平衡に変換するには、1対1のバラン(変換器)が必要です。
1対1のバランの作り方は各種有りますが、もっとも一般的な同軸ケーブルを使った物を紹介しましょう。
プロの設置するアンテナの場合(図1)の様に同軸をエレメントに直接繋ぐ事は殆ど有りません。
上のFigure 3のバランがよく使われている物です。
この同軸バランは、外部からの影響を受けるので設置する際に、金属パイプ等に収納する必要が有ります。
現実的なアンテナのエレメント長の計算
1/2波長ダイポール・アンテナのエレメント長...??
アンテナの長さ(m)=[300(m)÷周波数(MHz)]÷2
何処でもよく見かける上記の計算式でエレメント長を決めると100%周波数は合いません。(ガーンッ
80MHz帯で測定すると、3〜5MHz位、同調周波数が低く、づれ込みます。
式は間違いではないのですが、この計算は宇宙空間でしか成立しません。!?
地球の上では、空気が存在するので誘電率に対する短縮率を入れないと同調周波数が合わないのです。
短縮率は条件により変化する、(0.94〜0.95)位 (0.94667???)
1/2λがダイポール・アンテナの基本になりますので、
300/(周波数)/2×(短縮率)で周波数に同調するエレメントの長さが求められます。
88MHzの場合 300/88/2×0.95=1.619てな感じで約1m61cmの長さになります。
85m/mも違うぞ!!
短縮率について
地球上の空気における誘電率によってアンテナエレメントの物理長が短くなる現象を短縮率と言います。(ちょっと違うけど大まかに)
空気における誘電率が、おおよそ0.95位ってわけです、ちなみに宇宙空間では空気が無いので短縮率は必要ありません。
なお短縮率は周りに何も無い理想状態で0.95位ですが、 近くに壁とか木とかが存在する場合さらに大きくなります。
したがって、この計算で得られたアンテナエレメントの物理長は理想的な条件でアンテナを設置した時にのみ有効な数値です、
人が近くを、うろついただけでも条件が変わるので電波の飛び方が変わってきます。
設置したアンテナの波長範囲内に阻害媒体が在る場合にはアンテナエレメントの物理長が大きく変動するので条件にあわせた調整が必要になります。
したがって計算どうりに作っても条件に合わせた調整をしない限りアンテナは有効に機能しないため、電波の飛びは悪くなります。
話が、ちょっと前に戻るけどダイポール・アンテナの理論上の給電点インピーダンスは72〜73Ω位らしい...って
だとすると75Ωの同軸ケーブルを使った方が、インピーダンス・マッチングの点で良いのではと思われるが、
これは理論上のインピーダンスの話で有って、...多分これも宇宙空間だと成立するのかもネ.!?
測定すると限りなく50Ωに近い値になります、アンテナ付近に立ち木などの阻害媒体が存在すると更に下がる事もあるのです。
同軸バランのケーブル長計算
空気によってアンテナエレメントの物理長が短くなるぐらいなんだから
同軸ケーブルにもとうぜん短縮率が有ります。
これは、同軸ケーブルのカタログデータ何かを見ると出ているので知っていると思いますが、??
私がよく使う藤倉電線の8D-2Wや5D-2Wの場合、短縮率は67%です。
藤倉電線のデータでは、これらの短縮率は67%と表記されています、
藤倉のケーブルは精度高く8D-2Wの場合私たちの測定では20mで30cm以下の誤差しか有りませんでした。
計算値どうりのケーブル長、一発切断で同軸バランやウイルキンソン等が無調整で機能します。
8D-2Wや5D-2Wケーブルの短縮率は67%なので、
1/2λの場合88MHzでは、300/88/2×0.67=1.14205てな感じで約1m14cmの長さの同軸になります。
この同軸ケーブルの短縮率を知らずに、Uバランやウイルキンソン等を作っても既に周波数が
あさっての方に飛んでて同調しないので正しく機能しません。
アンテナエレメントの時は3〜5MHz位のずれですが同軸ケーブルの場合は、
短縮率が大きいのでマジで機能不全になります、...短縮率67%
同軸の場合、絶縁体が空気じゃなくてプラスチックなので短縮率が大きくなるんです。
絶縁体が発泡系のFSAケーブル等は短縮率が少なくなっています。(使用するケーブルのデータを確認してください)
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実際に設置された1/2λダイポール・アンテナ (垂直偏波)
水平部の金属パイプに同軸バランを収納している。
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同軸バランをコアローデングする給電方法
Figure 4、同軸バランの別なやり方で同軸をコアローデングしバランを広帯域化する方法があります。
バランの同軸部分にでかいトロイダルコアを入れると同調周波数帯域の上限は変わらず、
下限が下がるので、同軸を短くする事がで来ます。
同軸ケーブルを短く出来るので外部の影響も受けにくくなりUバランの様にループ状にする事が出来ます。
写真のバランは手持ちの関係で、コアが一組しか入ってませんが
3〜4組入れるとケーブルも短く出来、理想的です。
このダイポール・アンテナのVSWRは、1.1以下を確保
ダイポール・アンテナを正しく機能させるのは意外と難しいんですね、(笑
特に、1対1のバランはクセモノですので心して掛ってください。
私は、以前からプレーンなダイポール・アンテナをまともに使うのは難しいって事を、
知っていたので折り返し型のホールデット・ダイポールを使ってたんです。
1対1のバランより1対4のUバランの方が扱いが楽ですから、....!!(Hi